コラムNo.5 酵素玄米はどうして「ガス」で炊く必要があるのか

酵素玄米

酵素玄米はどうして「ガス」で炊く必要があるのか

 前回のコラムでは、酵素玄米を炊くときに必要な圧力鍋、平和の圧力鍋PC-60Aをご紹介し、アルミ素材の鍋でガス火を使うことでおいしく炊き上がることをお伝えしました。

 さて、今回は、なぜガスの火=火力が大切な要素なのかについて、人類の進化や文明の発展も紐解きながら、詳しくお話ししていきたいと思います。

 

人類の食文化の発展と火力の歴史

 はるか太古、人類が地球上に誕生して間もない時代、食料は生で食べられ、火を使って料理をするという習慣はありませんでした。その後、旧石器時代の割と早い段階で、私たちの祖先は火の使い方を覚え、食材を直接火にさらして焼いたり、熱した石を用いて焼いていたことが、当時の遺跡跡から見て取れるようです。その後、さらに文明が進化し、新石器時代あたりになると、従来の焼くという調理法から茹でる、煮る、揚げるといった、比較的現代に近いような料理方法が生まれ、本来の生命維持という食の意味合いから発展し、食事として生活の豊かさや生命に彩りを添えるものに変化してきました。このように、私たちの食の変遷と火の力は切っても切り離せないほど密接な関係があったと言えます。つまり、地球上に昔からあった炊事方法は火力=炎を利用した加熱法であり、人類は他の動物とは大きく異なり、火の力を利用し、熱源として活かしながら食べ物の煮炊きを行ってきたのです。

 さらに文明が進み、近代から現代の初期ごろへ歴史が移ると、日本でもわずか数十年ほど前までは各家庭では囲炉裏やかまどなどを使って調理をしていたり、薪風呂を使っていた時代背景がまだ身近にあり、地域にもよりますが、戦前戦後くらいまではそのような「火とともにある」生活が脈々と長く続いていたと考えられます。このように、人類史の進化と食や生活習慣の変遷には火力の大いなる存在があったことは紛れもない事実と言えるのではないでしょうか。

火には特別な力が宿る地球のエネルギー

 次に、地球上にある火と水の自然エネルギーについて、触れてみたいと思います。

 元々、火は地球が惑星として誕生した時点からある、自然そのものの生のエネルギーであり、宇宙が無から惑星を生み出すような、圧倒的なパワーがあり、地球の命の源でもありました。その火の力が落ち着いたあとで、水のエネルギーが生まれ、地上に小さな生命の息吹が芽生え始めました。これが地球と生命の誕生の一番最初の物語の始まりです。

 日本人は太古より大自然の中に神々の気配を感じながら八百万(やおよろず)の神とともに生活してきました。森羅万象に神が宿り「火の神様」「水の神様」と、崇め奉って手を合わせてきたのです。日々の暮らしの中に火と水があることが、毎日の調理のみならず、数々の生命体の生存を維持し、私たちの生活を彩り豊かにしてきたことは、大変興味深い宇宙の神秘とも考えられます。 私たちの祖先は、地球の中で自然界とともに共存共栄しながら生命を紡いでいく日々が、どれほど貴重でありがたいことと感謝しながら生きる、物事を本質で捉える能力を当たり前のように持ち合わせていたのだと思うのです。

 酵素玄米を単なる玄米の炊飯方法と捉える見方もありますが、この圧力鍋の中に人智では計り知れない無限の宇宙パワーが宿っているのだとしたら、召し上がる酵素玄米がとても奇跡的なパワーフードだとも思えるのかもしれませんね。

 

ガスで炊く酵素玄米と電気で炊く酵素玄米の違い

 酵素玄米という食べ物は、玄米の表皮についた微生物=玄米菌が発酵を促し、玄米がおいしく変化する「発酵食品」であることは、以前のコラムにてお伝えしたとおりです。発酵食品は人間と微生物が共同で織りなす、食の世界の奇跡の産物でもあります。それでは、酵素玄米を作る際の熱源が違うと、出来上がりのお味がどのように変化するのか、ご説明していきましょう。

 まず、ガス火、つまり炎の力を利用して炊く酵素玄米は、玄米のおいしさを最高に引き出して、ふっくらもっちり感が出やすい炊き方です。ご存知のとおり、玄米にはお米の表皮(糠の部分)がついていますが、玄米を丸ごと炊飯する酵素玄米では、この表皮部分を柔らかくすることが食べやすい玄米食になるポイントなのです。もちろん食感だけはありません。さらにおいしくするコツは、玄米特有の米ぬかの臭いをできるだけ取り除くこと。これもガス火の高温でしっかり炊くことで全くと言っていいほど気にならなくなります。

 ガス火以外で炊飯をする方法は、電気を使う方法もあります。電力での炊飯は、主にIHコンロと電気炊飯器、電子レンジがあげられます。IHの場合は、さらにお鍋の種類が土鍋や琺瑯など複数の素材が考えられますね。いずれにしても、熱源が電気なので、ガスで炊くようなふっくらモチモチ感は出にくく、ガス火に比べてパサパサするような感覚や米ぬか臭も感じられるかもしれません。なぜこのような違いが出るかというと、白米と玄米は同じお米といえど、その基本的な性質が違うため炊き方は同様にはいかないからです。白米がおいしく炊けるからといって、玄米でも同様の効果があるとは限りません。さらに言えば、酵素玄米は「発酵させた玄米ごはん」であること。仮にお米としてはおいしく炊飯できたとしても、発酵食品としてうまく発酵されていなければ、そのおいしさや栄養価などの本来の魅力を最大限に引き出せたことにはならないのです。

 昨今では家電の技術開発も目覚ましい進化を遂げており、高性能な電気炊飯器も増えてきて、玄米モードがついていたり、電気圧力鍋で炊く玄米ごはんもあります。スイッチひとつでできるといわれる酵素玄米炊飯機能付きの専用電気炊飯器も販売されています。しかしながら、いずれの方法にしても、酵素玄米本来の食感や風味などは、火力を使ったようにはなかなか出にくいものです。ガス火と電力のもの双方を食べ比べてみれば、その差は歴然としております。 

 酵素玄米のおいしさの秘密は「熱源=火力」にあり!!電力にはなし得ない圧倒的な旨みを引き出す秘訣は、やはり自然エネルギー、炎の力なのだということを、まず最初にご認識いただきたいと思います。

ガスコンロとIHクッキングヒーター、それぞれのメリットとデメリット

 今回は、熱源の違いによる酵素玄米の炊き上がりの比較をテーマにしておりますが、元々はどちらが正解、不正解ということではありません。酵素玄米をおいしく召し上がっていただくために最適な加熱方法はどういったものかということを、ぜひ知っていただきたいと思います。そういった視点から、まずはそれぞれの熱源のメリットとデメリットもお話ししましょう。

 ガスコンロのメリットは、やはり日常的な調理方法として、食べ物がおいしく作れることが一番大きなポイントでしょう。同じ食材で同じメニューを作るとしても、熱源が違うだけで全く別物のような味に仕上がることも稀なことではありません。炊飯に至っては、大変シンプルな素材で簡単にできるものであるが故に、その差はさらにはっきりとしたものになります。一般的な飲食店など、プロがガス火を使っているのもそのためです。ただし、そのおいしさと裏腹に、一歩使い方を誤ると、火災や事故につながる危険性も考えられます。

 その一方で、IHクッキングヒーターの場合は、大変安全性も高く、フラットな天板は掃除もしやすいのが特徴です。また、調理をする際のデジタルの数値化された加熱度合いやタイマーなどは、わかりやすく使い勝手のいいツールということが最大のメリットだと言えるでしょう。その便利さと引き換えに手放した部分が、食べ物をおいしく調理する、という大変重要な要素なのです。

 それぞれのご家庭において、ガスと電力のどちらを使うかという選択は、価値観や住宅事情、家族構成やコスト面などを総合的に判断して決定されるといいのですが、やはり酵素玄米を上手に炊くことに特化すると、そもそもの調理がおいしくできるガス火の方に軍配が上がるのは必然と言わざるを得ません。付け加えると、スイッチひとつで簡単便利に炊けることが利点である電気炊飯器もIHクッキングヒーターとほぼ同様のことが言えるでしょう。

 ご自宅のキッチンがIHクッキングヒーターの場合でも、ご安心ください。酵素玄米はカセットコンロを使って炊くことが可能です。地震や台風など、災害や非常事態に見舞われ、いつ何時電気の供給がストップし、調理がままならない状況に陥る可能性も全く無いわけではありません。そんな時でも、災害対策や備蓄としてカセットコンロは大変役に立ちます。「備えあれば憂いなし」そういった意味でも、カセットコンロは一つくらいは防災用品として常備していてもいい備品かもしれないですね。

 

酵素玄米を炊くときは「ガス」が必要不可欠

 結論から申し上げると、酵素玄米という食べ物をおいしく作るための適した熱源は、ガスが最善ということになります。自然界の力を十分に利用した加熱方法を選ぶことで、圧力鍋の持つ性能と相まって、炊飯力及び発酵力が最大限に発揮されます。そのエネルギーの勢いこそが、微生物が生き生きと躍動するに相応しい発酵の場になり、引いては炊き上がりのおいしさに直結してきます。

 地球のエネルギー源と玄米の持つ食物の力、そして微生物の生命活動=発酵作用がマッチし、全ての方向性がピタッと揃ってこそ、初めて酵素玄米という大変素晴らしい奇跡の主食となるのです。

 

 今回は酵素玄米を炊く際の火力の重要性についてお話ししましたが、ガスの力を利用することが重要であり、かつおいしさのポイン トであることはご理解いただけましたでしょうか?熱源一つにとっても大変重要な意味があることは興味深いことですね。

 次回のテーマは、酵素玄米を炊く過程において欠かすことのできない大変重要な「カミナリ現象」という作用について触れていきたいと思います。

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