コラムNo.4「酵素玄米」を炊く際に必要な道具

酵素玄米

 前回のコラムでは「酵素玄米」をご自宅で炊く時に使用する材料についてご紹介し、「黒千石大豆」とヒマラヤ岩塩「紅塩」の重要性をお伝えしました。今回は道具編として、まずは圧力鍋のことをご案内していきましょう。

 

 酵素玄米に限らずですが、どのような調理でも、必ず相応しい材料(食材)と最適な道具が存在します。おいしいお料理を作るためにはどちらも欠かせない必須アイテム。特に酵素玄米に至っては、大変数少ない材料と最小限の道具で炊くため、なんでもよいだろう、どれを選んでも大差ないはずといった、個人判断で適当な選択をすれば、それはすぐ仕上がりのお味に直結してしまいます。

 よくあるケースでは発酵食とは名ばかりの「酵素玄米もどき」「似て非なる単なる玄米ごはん」になってしまう可能性が大いにあり得ます。それは、出来具合の違いだけでなく、栄養価やお体に対する効果、ひいては健康状態にも影響してきます。せっかく食生活の中にこの素晴らしい酵素玄米を取り入れるのですから、これから挑戦される方はもちろんですが、現在ご自宅で酵素玄米を作られている方でも、基本的なことだけは最低限抑えていただいて、確実に発酵していてとてもおいしい「酵素玄米」を召し上がってもらいたいと思います。

 

【おすすめの圧力鍋について】

 FTW式酵素玄米では、必ず圧力鍋を使用してガス火で炊飯します。この圧力鍋ですが、こちらで推奨している指定商品があります。

 圧力鍋は「平和圧力鍋のPC-60A」を使用します。これは山形県で製造されている日本製の商品で、製造元の平和アルミ製作所様(通称平和と省略した形で呼ばれたりしていますが)は、なんと大正時代からアルミ製品を手がけておられる老舗のメーカー!国産圧力鍋の匠とも言える、高品質で名実共に大変信頼のおける企業です。現在は株式会社鋳物屋と社名変更され、ますます業績拡大されておられます。2023年4月現在では、全国から注文が殺到し生産が追いつかず、入荷待ちが続くほどです。酵素玄米の炊き方を習ってすぐに炊き始めたいお気持ちも大変理解できますので、お買い求めの際には、納期に余裕を持ってお取り寄せされることをおすすめしております。

【酵素玄米に相応しい圧力鍋とは】

 ところで、なぜこの平和圧力鍋が酵素玄米に最適なのでしょうか。それにはれっきとした理由があるのです。

 「FTW式酵素玄米」としてきちんと発酵させた酵素玄米にするためには、炊飯中に「カミナリ現象」を起こしてマイナス電子を圧力鍋の中へ意図的に取り込む必要があります。この目には見えないエネルギーが、微生物を活性化させ、発酵をより一層推し進める効果があることは、前回コラムでもお伝えした通りですが、その大変重要な「カミナリ現象」を起こせるものは、アルミ製でできているこの平和圧力鍋ということになります。

 市場にはステンレス製やアルミとステンレスの両方を使った多層構造の圧力鍋もたくさん出回っておりますが、素材が異なれば熱伝導率が大きく変わるのです。

 外食産業に詳しい方はお気づきかもしれませんね。和食の厨房ではアルミ製の雪平鍋が、ラーメン店の寸胴鍋、イタリアンレストランでもアルミのフライパンが多用されているのは、扱いやすさはもちろんですが、素材の旨みを最大限に引き出してよりおいしく調理するためでもあります。

 そしてもう一点、忘れてはならない大切なポイントがあります。それは、内釜と外釜に分かれた「二重構造」の圧力鍋であるということ。これは前述の多重構造とは違い、内釜が分離し取り出せる、独立したタイプの圧力鍋ということです。FTW式酵素玄米では、外釜の中に直接お水を1カップ入れて、洗った玄米に水加減をした内釜をセットし炊飯に入ります。これが「カミナリ現象」が起こる秘訣でもありますから、物理的に鍋に直接玄米を入れて炊飯する構造の圧力鍋では酵素玄米はできない仕組みになっているのです。

 さらに付け加えるとすれば、外国産の有名メーカーの優秀な圧力鍋もたくさんありますが、硬い玄米を柔らかくするにはそれなりのノウハウがあるもの。それは肉の筋や魚の骨を食べやすくすることとは微妙に異なります。やはり玄米をおいしく炊き上げるのは、お米のことを知り尽くし、ふっくら柔らかく炊き上げたご飯を作るにはどうすればよいのかという情熱のもと、日本人ならではの視点から開発された国産品であるということ。昔ながらの日本人の知恵と研究を積み重ねてきた成果の賜物であるといえるでしょう。

 

【他の圧力鍋で酵素玄米が炊けない理由】

 平和圧力鍋でこの酵素玄米を炊く理由をご理解いただけたかと思いますが、よく問われる質問で「自宅で使っている他社製品の圧力鍋は、酵素玄米用として使えるかどうか?」というものがあります。

 結論から申し上げますと、一般的な玄米ごはんとしては炊飯できますが、発酵したFTW式酵素玄米にはなりません。 

 その理由として、肉や魚など副食を作るときに使用している圧力鍋は、洗剤できれいに洗ったように見えてもどうしても落ち切らない「動物性の油脂」がしっかりとついてしまっています。この油脂は微生物が鍋の中で発酵という作用を起こす際に阻害する要因となってしまうのです。

 なるべく物を増やしたくない、できればお手軽に酵素玄米を炊き始めたいので、まずは手近にある圧力鍋で試してみたい、そんなお気持ちはとてもよくわかります。しかし、酵素玄米とは、そもそも微生物の活躍が必須要件である以上、微生物の活動に焦点を合わせた快適な発酵環境を整えておくことが、大切な事柄となってきます。

 ですから、FTW式酵素玄米を始められる時は、まず平和圧力鍋を酵素玄米専用の圧力鍋として揃えていただく必要があります。すでにお使いのものをお持ちの方であれば、それは兼用にはせずに、これまで通り酵素玄米以外の副食などの調理用として使い分けられることをお願いしています。 

 

【アルミ製の鍋の安全性について】

 アルミ製の圧力鍋をおすすめするにあたり、時々アルミ製品の安全性、健康面での心配の声を聞くことがあります。おそらく、アルミのものを使うとアルツハイマーなどを発症するのではないか、ということを懸念されておられるのだろうと察します。

 可能性の一つとして、アルミ=人体にとって有害なもの、という側面があると仮定したとして、アルミ製の調理器具が食べ物のおいしさを最大限に引き出す最適な素材であることも、また真実であろうと思います。物事には多面性といって、メリットとデメリット、どちらの要素もあり得るものです。酵素玄米がおいしく炊き上がるのは、確かにアルミの持つ素材の特性でもあるのです。

 もちろん100%安全かと言われると、絶対ではなくほぼ影響はない程度と考えられますが、例えば、毎日厨房に立ち、アルミ鍋を振っている世界中の料理人は、真っ先に体調不良になってもおかしくないでしょうから、それほど神経質にならずともいいのではないかと考えております。

 それから、もう一つ確実に言えるのは、アルツハイマー自体の全容がまだきちんとは解明されておらず、発症要因はよくわかっていないということ。この段階でアルミを原因物質として断定してしまうのは、やや時期尚早という気がいたしますね。

 

【平和圧力鍋なのに上手く炊けない場合は…】

 指定の品番のものをお使いいただいている方でも、うまく炊けなかった!ということや、最初の方はおいしくできていたのに、最近はどうも味が落ちたような気がする、といった体験がときどき起こることがあります。

 その場合は、まず金色(重りは金と銀の2種類あります)の重りがきちんとセットされてあるか、隙間なく確実に蓋は閉まっているか、さらには、パッキンが緩んだりせず所定の位置に収まっているか、パッキン自体が劣化していないか、といったことを、今一度確認してみてください。一度取り外して洗浄された場合なども要チェックですね。

 平和圧力鍋は、本体自体は大変頑丈な作りになっており、長い間ご愛用いただいても差し支えない頼もしい製品ではありますが、パッキンだけはゴム製ですから、使用頻度が高かったり長年お使いいただいていますと、どうしても気づかないうちに経年劣化が進みます。そうすると、ほんの僅かな隙間からでも蒸気が漏れて圧力がうまくかからずに中途半端に炊き上がってしまって、その結果十分に発酵できなかったおいしくない酵素玄米になることが稀にあるようです。炊飯中に本体と蓋の間から微かでも蒸気が出ているようであれば、蓋が完全に閉まっていない、もしくはパッキンの交換時期であるとお考えください。

 さて、平和圧力鍋の役割と、アルミ製のこの圧力鍋が酵素玄米をおいしく発酵させるためには必須アイテムであることをお話してきましたが、その理由は十分におわかりいただけたかと思います。

 FTW式では、平和圧力鍋の中でもガス火専用のものを使用します。そしてIHなど熱源が電気エネルギーのものは、FTW式酵素玄米としては炊くことができないと説明しております。では、なぜ電力ではなく「火力」を使う必要があるのか、実はここにも大変重要な要素があるのです。

 今回はここまでにしておいて、次回はその辺りをじっくりと解説していきたいと思います。

 

 

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