【日本人とお米の大事な関係性】
日本人にとって、とても馴染みが深い食べ物といえば…飽食の現代においていろんな種類のものが候補に挙げられるでしょうが、その中でもやはり「米」は外すことのできない、かなり重要なものと言えるでしょう。お肉や魚、野菜など、どのような副菜と合わせても決して主張し合うことなく、不思議と食卓に調和が生まれ、互いを引き立てつつおいしさが増してしまうという、奇跡的な食材でもあります。一説によると、日本の豊かな土壌と高温多湿の気候が、大変稲作に向いていたため、主食になり得たというお話もあります。
日本では、はるか太古より稲作文化が根付いており、今日まで様々な土地で多くの国民が毎年稲を育てて米を収穫し、また翌年も田んぼに水を張り種籾を撒いて米を作り、絶やすことなく作り続け大切に食べ繋いできました。秋の収穫時期は、全国各地の田んぼが黄金色に染まり、穫れたての大地の実り=新米は何物にも変え難い貴重な贅沢品であったろうと想像できます。歴史的に有名な戦国武将も偉人も一人残らずお米を口にしながら成長し、日本の歴史の一ページを刻んで来たに違いありません。
その一方で、日本の食文化もライフスタイルや嗜好の変遷とともに、小麦を主原料としたパン食やパスタやラーメンなどの麺類を食べる習慣が急速に広がってきました。また、お菓子の世界でも、米粉やあんこなどを材料に作られる和菓子より、小麦粉とバターや生クリームなど乳製品を合わせた、華やかな洋菓子の方が圧倒的な人気を誇っています。
特に戦後の食の欧米化は著しいものがあり、それに伴って食事内容も変わりつつあり、現在の日本での家庭あたりの年間支出金額は、今や米よりパンの方が購入金額が多く、ほとんどが輸入に頼った小麦が主食としてより多く消費されているという事実は、日本人としてしっかりと注目すべき重要な事柄であると思います。
主食の支出額の変動と言われてもあまりピンとこないかもしれませんが、例えば日々の家庭の食卓やおやつの内容、学校給食をじっくり振り返ってもらえれば何を選択されているのか明確ですし、お住まいの地域でも、おにぎりを販売するお店よりもパン屋さん、老舗の和菓子屋よりケーキ屋やカフェ、どちらかと言えばうどんや蕎麦屋よりラーメン店の方が主流で、雑誌の記事やインターネットの話題にも上りやすく、出店率や市場構成比率を見ても、その消費背景はもっと具体的にお分かりいただけるのではないでしょうか?
【酵素玄米=「玄米食」と「発酵食」のW効果】
随分と前置きが長くなりましたが、「酵素玄米」とは玄米を100%使用し、発酵させて作る米飯食であり、日本古来から馴染みの深い主食である米を主原料としています。「酵素玄米」という名称の他にも「発酵玄米」「寝かせ玄米」「熟成玄米」といった呼び方をされたり、「発芽玄米」を使うこともあるようです。一般的には、玄米と豆と塩を材料にして炊飯したあと、3〜4日保温し続けながら発酵させる食べ物のことを言います。(ちなみに、FTW式酵素玄米は寝かさずに作る全く新しい作り方ですが、この回のコラムの中では代表的な総称としての「酵素玄米」を指すことをご承知おき下さい。)
一方で、玄米ごはんは、稲の種子から籾殻だけを取り除き、精白しないで表皮や胚芽やぬかなども丸ごと含んだまま炊いて食べる炊飯方法ですが、主に江戸時代以前までは日本の主食の中心でしたが、江戸時代中期ころより、主に江戸や大坂など大都会や、地方の富裕層を中心に白米が好まれるようになり、栄養不足による脚気が流行したということが史実として残されているようです。
現代においても、食の健康法に敏感な一部の方を除いて、ほとんどの家庭では食べやすい白米を摂ることが圧倒的に多くなっています。その背景として、①玄米は食べにくい(ボソボソしたりぬか独特の香りがする)、②炊飯しづらい(白米より柔らかくならない)、③消化吸収しにくい、④スーパーなどで手に入りにくい、といった事情があり、玄米食離れが起こる要因と考えられるでしょう。その結果、お米の栄養素を精米によって削り取る白米食メインの食卓事情が生まれました。ところが、お米由来の大切な栄養価は、廃棄される部分であるぬかと胚芽に詰まっています。そこには食物繊維やビタミン、ミネラルが多く含まれており、玄米には、白米と比較して抗酸化作用や動脈硬化予防、コレステロール値を下げる働きがあるとも言われています。
また、食べ物を発酵させると、例えば納豆のようにおいしくて食べやすい別物の食品に変化することがわかっています。それは、アミノ酸やイノシン酸などの旨み成分が生まれること、さらに酵素の働きによりビタミン類などの栄養価が格段に高まり、体内に入った後も消化吸収がしやすくなるという性質があるためです。その上、発酵食品は長持ちし、腐敗しにくくなり、よく熟成させることによってますますおいしく変化する特徴もあります。
発酵という作用には、「微生物」という肉眼では見えないたくさんの種類の菌が関係していますが、酵素玄米においては、玄米の表面についた微生物の力を借りて、発酵させている食べ物になります。玄米の菌は数ある微生物の中でもとても強力なパワーを持つ微生物で、高温や冷凍にも耐えることができ、一説によると人体のDNAを修復したり、私たちの持っている常在菌のバランスを整えてくれる働きもするという話も聞きます。
さらに、発酵食には腸内環境を整える作用もあり、食を通じて免疫力を高めることができます。また、人体の老化(いわゆる細胞の酸化&劣化)の要因である「活性酸素」の発生を抑制する抗酸化物質が豊富に含まれています。そして、代謝を促進し、解毒作用(いわゆる体内から不要なものを排泄するデトックス)も手助けしてくれています。
酵素玄米は、そういった「玄米食」と「発酵食」の良さをどちらもWで兼ね揃えた『完全栄養食』とも言われており、『現代のスーパーフード』と言っても過言ではないでしょう。そして、毎日毎食食べ続けても飽きのこない不思議なおいしさとなんだかクセになるような個性的な魅力を持った主食でもあります。さらには栄養価も非常に高く、老化や病気を予防する働きもあるため、見方を変えると『食のサプリメント』『食べる天然予防薬』とも考えられるのではないでしょうか?
さて、最後までご覧いただいた方は、ますます健康的なお食事としての「酵素玄米」について、興味と謎が深まってきたいい頃合いかと思います。さらなる「酵素玄米」の魅力や秘密については、機会を改めてじっくりとお伝えすることにいたしましょう。
※注1…江戸時代には、現代の「大阪」ではなく、明治時代に表記が統一されるまで「大坂」の漢字を当てて
いたため、文章の内容により今回はあえてこちらを用いています。
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