前回のコラムでは、酵素玄米は必ずガスの火=火力を使って、高温高圧で炊き上げることが必要であることをお伝えしました。今回は、火力に加えて、もう一つ重要なポイントである「水」のことについて綴っていきたいと思います。
ご存知の通り、酵素玄米に限らず、炊飯に必要なものは「火(熱)と水の力」であり、そのどちらが欠けてもお米が米飯に変わることは永遠にありません。水は、火力と同等に必要不可欠な要素でもあります。火と水の相反する物質が組み合わされ互いに作用しあって、そこに摩訶不思議な力が生まれ、米とは全く異なる性質の米飯という物体に変化します。お鍋の中でその化学変化が起こって初めて、私達はおいしい食事として食べることができるのです。ですから、材料としてのお米の質はもちろんですが、どのような水を使って調理するか、ということも重要な要素となるでしょう。
◆地球と人体と水の関係
次に水の大切さについて、触れていきたいと思います。
地球は「水の惑星」と表現されることもあるように、青々とした海の水を讃える宇宙唯一の惑星とも言われます。地球上の面積の海の比率は約7割、残りの3割が陸地です。私たちは広い広い大地に住んでいると思いがちですが、それよりも遥かに広大な海が存在しているのです。
この豊かな水資源が存在するおかげで、空気を得ることができ、地球上に生命体が生まれ(一番最初に誕生した生き物は、発酵とも関係の深い微生物だと考えられています)長い長い生物の進化と変遷を経て、私たち人類もこの地球に存在することができています。
まさに大自然の恵み、生命の奇跡とも言えるでしょう。
そして、この水は「命の源」と表現しても差し支えないくらい、私たち人体にとっても大変重要なもの。生命活動を維持する体内の水分量は、子供で約70%、成人で約60%くらいで、加齢とともに徐々に減っていくものなのですが、地球が蓄える水分量もおおよそ70%なのだとしたら、不思議なほどリンクした目には見えない何か…「生命の水分バランス」なるものがあるのかもしれませんね。水の神秘さについて、大変興味深いところです。
さて、人体と水の関係について、もう少し見ていきましょう。
体内に入ってきた水分は、腸から吸収され、血液などの「体液」になって全身をたえず循環しています。この体液は、私たちの生命に関わる様々な役割を果たしていて、必要な酸素や栄養分を細胞に届けると同時に、老廃物(体内のゴミ)を尿として排泄します。そして体温が上がってしまったときは、必要に応じて皮膚への血液循環を増やし、汗を出し熱を逃がして、体温を一定に保ちます。このように、必要なもの不要なものを循環させ、体温機能を維持し安定的に保ち、新陳代謝を活発にしてくれているのも、体内の水分の重要な働きなのです。
そして、人間の体は、水さえあれば例え食べ物を摂取することができなくても、2〜3週間は生き延びられると言われています。逆に、一滴も水を得ることができない危機的状況に陥ると、なんとその生存率は格段に低下し、生き長らえる確率は3日間が大きな山場なのだとか。災害救助などの現場では72時間内の救出が一つのターニングポイントと言われるのは、水分摂取が途絶えた際の生存率の激減を示しているということです。
もちろん、真夏の炎天下など、脱水症状が起こりやすい環境下にあると、さらにその状況は著しく厳しいものになってくると予測されます。
それほど、水と生命は密接に関わりがあリ、命を存続させていくためには、絶対的に必要不可欠なアイテムであることは間違いありません。
◆食と水の重要性
次に、食と水についても見ていきましょう。
人間は1日に約2〜2.5リットルほどの水分摂取を必要とします。その半分は飲み物からですが、残りはごはんやおかずなどの食事から摂取していることになります。
体内の半分以上約70%が水分でできているのですから、水ならなんでもいい、というものではないはずです。体の中に取り込んでも問題なく馴染んで、生きていくために体内でしっかり機能してくれること、それが大切なのです。
ところで、家庭内で使う一般的なお水の種類にどのようなものがあるのかというと、大まかに分けて「水道水」それを浄水器などのシステムを通し濾過して水の性質を整えたもの、電気を通して分解した「電解水素水」や「ミネラルウォーター」などもありますね。それぞれに違った特徴があるので、炊事などの飲料用、入浴や家事用など、ご家庭の事や使用目的に合わせて、最適最良な水を選択していただきたいと思います。
日本の水は、世界的に見ても大変恵まれていることに、見た目にはほぼ無味無臭、無色透明な液体ですが、その種類によって中身は大きく異なると思っていいでしょう。
日常的に毎日使う、一番身近で、なおかつ生命活動にも大きく関わる水のこと、しっかり考えて慎重に摂取することがとても重要ですね。
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